魅惑の低音!フレットレスベースの特徴と魅力

Fenderの開発したプレシジョンベースはみなさんご存知だと思います。プレシジョンという単語は日本語でいうと正確な、という意味です。

それまではいわゆるウッドベースのようなものが一般的で、フレットはありませんでした。

そのスタイルを変更し、指板にフレットを打つことで誰でも正確な音程を出せるようにしたので、プレシジョンベースという名前がつけられました。

今あえて、このフレットを取り払う、もしくは最初から打たないスタイルのベースも存在し、それらはフレットレスベースと呼ばれています。(逆にフレットのあるベースをフレッテッドベースと呼びます)

今回はそのフレットレスベースの特徴や魅力について、書いてみようと思うので、よろしければ最後までお付き合いください。

目次

  • フレットレスベースとフレッテッドベースの違い
  • メロウでソフトな低音
  • 傷つく指板はコーティングしてしまえ!
  • フレットレスの魅力を生かす演奏方法
  • フレットレスベースを愛用するアーティスト
  • まとめ

フレットレスベースとフレッテッドベースの違い

一般的なエレクトリックベースには通常フレットと呼ばれるパーツが指板に打たれています。

フレットが半音階で打たれることで音程を捉えることは容易になりました。しかし、逆にフレットを取り払うことで例えば半分の半分の音程を出すことも可能なのです。

CとDの間にはC♯、D♭と呼ばれる音程が存在しますが、本来はもっと細かい音程も存在するのです。

フレットレスベースはフレットがないので、その細かい音程を実現することも可能で、音程のバリエーションは理論上無限にあることになります。

ただし当然、正しい音程で演奏するにはある程度の技術が必要になります。バイオリンやトロンボーンもフレットのようなものはないので、同じようなものですね。

また、本来数ミリあるはずのフレットがないので、楽器のデザイン自体が変わります。

フレッテッドベースをフレットレスベースに改造する事例も多くありますが、その場合には多くの点に気をつける必要があります。

ナットは当然フレットの高さがなくなるぶん溝は低くする必要がありますが、その結果ナットの先でヘッド側の指板に接触することがあります。

これが起こると、バズが起きたり、チューニングが不安定になったりします。

また、フレットの高さ分弦高も下げることになりますが、ブリッジにその余裕がなければ弦高を下げられず、フレットの高さがなくなる分弦高が上がってしまうこともあります。

この場合にはジョイント部分にシムを挟む、ブリッジをボディに埋め込む、ネックジョイントの深さを帰るなどの対処方法があります。

メロウでソフトな低音

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ブリッジやナットの素材でサウンドが変化することはみなさん当然ご存知だと思います。

勘のいい方はすでに気づいているかもしれませんが、フレットレスベースはフレッテッドベースとは全くサウンドが違います。

原則的にフレッテッドベースはフレット(もしくはナット)とブリッジの駒が弦の接地点となります。

しかし、フレットレスベースの場合はフレットはないので、指板とブリッジの駒が弦の接地点となります。音が変わるのも当然ですね。具体的にはアタック感の薄いソフトなサウンドになります。

ゆっくりと音が伸びてくような、ウォームでスムーズなサウンド。アタック感が薄いのでリズム的な発音の良さはフレッテッドに譲ります。

速いテンポの曲はフレッテッドの方がビートを出しやすい点はありますが、スローからミドルテンポの曲においてはフレットレスの歌うような低音を存分に生かすことができます。

発音の早さも違うので、フレッテッドとは違うタイム感を持ってプレイする必要があります。そんな点もフレットレスの楽しさの1つと言えますね。

傷つく指板はコーティングしてしまえ!

フレットレスベース好きだけではなく、おそらく世界で最も有名なベーシスト、ジャコパストリアスは自身のフェンダーベースをフレットレスに改造し、その表面をエポキシでコーディングしたことはあまりにも有名です。

これがどういうことなのかというと、金属製の弦を木製の指板に擦り付けていたら指板に傷がつくのも当然で、それであれば硬質なコーティングを指板の表面に施してやれば済む、ということですね。

硬質なエポキシでコーディングするとサウンドも大きく変わります。

ジャコパストリアスの独特の硬質なサウンドの1つの要因は間違いなく、このエポキシコーティングにあるわけですね。

エポキシコーティングは指板を守る上で非常に有効な手の1つですが、コストがかかってしまう弱点があります。

施工の難易度も比較的高く、当然料金も高いです。

そのようなコストをかけずとも指板が削れることを防ぐ方法があります。それは弦の種類を変えることです。

ラウンドワウンドと呼ばれる弦は表面がでこぼこなため、エッジが立ち指板を傷つけてしまいます。

しかし、フラットワウンドと呼ばれる弦は表面がツルツルと滑らかになっているため摩擦がなく、指板を傷つけづらいと言えます。

ラウンドワウンドは明るく元気なサウンド、フラットワウンドはウォームでスムーズなサウンドと形容できます。

クラシックなサウンドを求めてフラットワウンドを愛用するプレイヤーも多いですが、主流はやはりラウンドワウンドですね。

フレットレスの魅力を生かす演奏方法

フレットレスベースはやはりフレットがないことによりアタック感が弱いのが一番の特徴です。

その特徴を生かした演奏方法を使うことで、魅力を最大限に引き出すことができます。

例えば、あえて弦を指板と平行に振動させてみましょう。さらにアタック感が弱まった印象を受けると思います。

この奏法をスライド奏法と組み合わせることでローポジションでは地を震わすような低音を、ハイポジションでは歌うように軽やかなサウンドが得られます。

今後は逆に弦を指板と垂直に、押し込むように振動させてみましょう。

少しアタック感の強いサウンドに感じると思います。

このサウンドなら速いビートにも対応することが可能で、特に16ビートの音楽においては独特のタイム感、サウンドを感じられます。

フレットレスベースを愛用するアーティスト

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まずはジャコパストリアスですね。

ジャコパストリアスはパットメセニーのアルバムに参加した他に、、ジャズ、フュージョンバンドのウェザーリポートでの演奏が非常に有名です。

独特のタイム感、高度なテクニック、それまでには誰も聞いたことがなかったハーモニックスを使った奏法で多くの注目を集めました。

デビューアルバム、ジャコパストリアスの肖像はあまりにも有名で、多くのベーシストが影響を受けました。

Donna Lee

こちらはソロファーストアルバムの1曲目、Donna Lee

世界中のベーシストがまさに文字通り度肝を抜かれたプレイです。

このファーストアルバムは1976年に発表され、同年ウェザーリポートに参加します。

ウェザーリポート時代にはTeen Townという曲をプレイ。

Teen Town

この時代においてベーシストはあくまで脇役の存在でしたが、ジャコパストリアスはそれを一気に花形まで持ち上げました。

Teen Townはまさにそれを象徴する曲です。その後、1981年にはセカンドアルバム、ワードオブマウスを発表。

このころからはビッグバンドでの演奏も多くなり、自身のバンド、ジャコパストリアスバンドやワードオフマウスビッグバンドなどでもプレイしました。

1982年ウェザーリポートを脱退後彼の精神状態は悪化し、1987年、泥酔したジャコはクラブのガードマンと乱闘の末頭部を強打、そのまま息を引き取ります。

彼が愛用したフェンダージャズベースは世界で最も有名なエレクトリックベースの1つです。

1962年製のボディに1960年製のネックを取り付けた3トーンサンバーストのジャズベースはBass Of Doomと呼ばれます。

前述の通り、指板はフレットが抜かれ、コーティングが施されています。

本来、2ボリューム2トーンのコントロールが搭載されますが、ジャコはこれを2ボリューム1トーンにカスタムしています。また、ピックガードを取り外し、ノブをメタルノブに変更。

この見た目はジャコパストリアスを連想させる仕様として、多くのメーカーに採用されています。

弦はロトサウンドのスウィングベースを愛用していたと言われています。

これはラウンドワウンド弦で、その明るいサウンドとエポキシコーティングの硬い指板がジャコパストリアスサウンドには必要な要素です。

リアピックアップを主体にして強力な右手のピッキングから生まれる硬質なサウンドは現在でもフレットレスベースサウンドのスタンダードとして認識されており、逆にリアピックアップのサウンドをフレットレスベースのサウンドのように錯覚するのもジャコパストリアスの影響ですね。

アンプはアコースティックのセットを愛用していました。

ディスクリート回路で構成されたアコースティックアンプにはファズも搭載され、そのファズを使ってプレイする姿もよく見られます。

現代のベーシストとして、フレットレスベースのシーンでは必ず触れなければならないのがマイケルマンリングです。

聞いてわかる通り、新しいサウンドを探求するその姿はまるで現代のジャコパストリアスです。

タッピング、スラッピング、ハーモニックス、多様なテクニックを音楽的に使い分ける彼の音楽はまさに唯一無二。

使っているベースはZONのHyper Bassという彼のシグネイチャーモデルです。

フレット数で例えると36フレット以上にも及ぶ長い指板とそれに対応する深いカッタウェイが特徴的です。

まとめ

現代のフレットレスベースはジャコパストリアスを抜きにしては決して語ることはできません。

彼のプレイ、トーンが現代のスタンダードとなり、多くのベーシストに影響を与えました。

前述したマイケルマンリングは彼の要素を受け継ぎながらも自分のスタイルを作り上げ、さらに多くのフォロワーを誕生させました。

常に発展を続けるフレットレスベースプレイヤー、目を離すことはできないシーンです。

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